バーチャルキャスト法人向けエディション事例紹介(6) さくらインターネット株式会社様

日本のインターネット黎明期より、国内最大級の大容量・高速バックボーンを誇る自社運営データセンターを活かした、レンタルサーバ(ホスティング)、専用サーバ、ドメイン、データセンター(コロケーション)、インターネット接続といったサービスで、日本の“オンライン”を支え続ける、国内最大手の「さくらインターネット株式会社」。

そんな、さくらインターネットで2014年よりカスタマーサポート公式キャラクターとして活躍している「まりな」が、2020年1月より『VRまりな』としてバーチャルキャストとともに新たな一歩を踏み出しました。

そこで、今回は接客の現場で担う「VRまりな」の役割や、活用、導入までの道のりを、さくらインターネット株式会社・カスタマーリレーション本部・カスタマーエンゲージメント部・カスタマーエンゲージメント・カスタマーコミュニケーション:青木茉利奈さん(動画の配信・シナリオ等作成担当)と、「VRまりな」さんに訪ねました。

今回は未だ余談を許さぬ新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、青木さんと「VRまりな」さんにはリモートにてお話を伺いました。

 

――まずは「まりな」のVR化、そしてYouTuberデビューおめでとうございます。

 

―青木茉利奈さん・「VRまりな」さん
ありがとうございます。

 

――「まりな」がサポート担当となったのは2014年ということで、既に6年目を迎えているわけですが、「VRまりな」のアイデアが持ち上がったのはどのタイミングになるのでしょうか。

 

―青木茉利奈さん
まりなVR化の企画が持ち上がったのは、ちょうど1年前になります。
これまでも、まりなを使ってSNSでの発信や、WEBマンガでの解説と新しい試みを行ってきましたが、昨今ではお客様の需要変化のスピードも早いので、「常に高速で変化するお客様の需要に合わせられる“まりな”」が求められていました。
“今”のお客様需要で言いますと、求められるのは、映像で動きを用いながら、お客様に親しみを持ってもらえる、わかりやすさを提供できるキャラクターとしての“まりな”。
このテーマで、まずは「動画を作ってみたいね」という話が持ち上がり、細かい動きやニュアンスもリアルタイムで再現可能な「VR」というアイデアが生まれました。

 

――「変化するお客様のニーズに対応する」という部分が、「VRまりな」企画の、「目標・目的」になるのでしょうか。

 

―青木茉利奈さん
「VRまりな」企画の大きな「目標」としまして、まず「親しみやすさ」そして「わかりやすさの提供」があげられます。
例えば、メールでお客様へお送りする解説や、ホームページに掲載する解説ですと、どうしても文面がガチガチになってしまうんですね。
それは、お客様的にもカジュアルに聞けない内容になってしまいますし、我々もカジュアルに発信することが難しいという「障壁」になっていました。
「VRまりな」には、わかりやすくカジュアルな情報発信をメインに、このような「障壁」を壊していってもらえればと考えています。

 

――VTuber支援アプリが多くある中で「バーチャルキャスト」との出会いはどのようなものだったのでしょうか。

 

―青木茉利奈さん
「VRまりな」企画が持ち上がったタイミングで、インターネット検索を開始したのですが、おっしゃる通りかなり多くのサービスがあり、選びきれないという状況がありました。
ところが、弊社では幸運なことに、社内にVTuber活動をしているスタッフがおりましたので、相談を持ちかけ意見を求めてみたところ、「バーチャルキャストがいよ!」というアドバイスを頂き、これが出会いとなりました。

 

――社内ユーザーからの“口コミ”が出会いとなった「バーチャルキャスト」ですが、実際に採用する決め手になったポイントを教えて下さい。

 

―青木茉利奈さん
優れたコスト面もポイントにあげられるのですが、私達現場にいる全くの未経験スタッフでも容易に理解し扱えるという、「圧倒的なわかりやすさ」が決め手となりました。

 

――「VRまりな」企画のスタートから実際の「バーチャルキャスト」導入までにはどのようなどのような準備が必要だったのでしょうか。

 

―青木茉利奈さん
さくらインターネットには、「まりな」というキャラがいるだけでなく、この「まりな」というキャラクターの原案を作ってくれたのも、さくらインターネットのスタッフなんです。
なので、モデルを起こしてもらう際も、まりなをグルっと360度様々な角度で描いてくれたので、かなり早いスピードで準備も整いました。

 

――今回はVRM開発からバーチャルキャストへご依頼とお聞きしますが、モデリングでのやり取りや、調整などはどのように進められたのでしょうか。

 

―青木茉利奈さん
まりな制作スタッフが描いてくれたものをバーチャルキャストさんにお渡ししたところ、すぐ3Dモデルがあがってきたので、その早さに驚きました(笑)
また、まりな制作スタッフが個人的にVTuber活動や3Dモデリングの経験を持っていたので、“必要になるだろう”というデータに心当たりがあったという点も大きかったのだと思います。
テストデータからの調整も、動く際に服が少しめり込んでいるように見える部分の修正があった程度で、何度も調整のやり取りが発生するということはありませんでした。
当初に思い描いていた通りのものを作っていただけたという印象で、この出来栄えには感動しました。そのまま3Dで出てきたので本当に感動しました!

 

――社内にいらっしゃる、まりな考案のスタッフさんと3D化に向けたキャラクター初期設定など手を加えた部分はありましたか?

 

―青木茉利奈さん
まりな原案から、衣装のバージョンに至るまで全て同じ方が担当してくださっているので、キャラクターがブレることもないのですが、今後色々なことをさせていきたいという展開の幅も見据え、“キャラ付けをカッチリさせていない”、“完全に決めていない”という、ふんわりさせたままの部分が多くあります。
ですので、3D化準備のために新たに設定を用意する必要性もありませんでした。

 

――これは個人的な興味で申し訳ないのですが、サポートキャラクターの「まりな」と、青木さんのお名前である「茉利奈」は偶然の一致だったのでしょうか?

 

―青木茉利奈さん
実は…、偶然の一致ではないんです。もちろん、私が「まりなにして欲しい」と求めたわけじゃないですけど(笑)
企画立ち上げの段階から私が担当だったので、私をモデルに作ってくださって。名前も恥ずかしかったんですが、もう「まりなで行きましょう!」と押し切られてしまいまして(笑)
企画が動き出しても最初の頃は、「まりなちゃん、まりなちゃん」と社内で呼ばれていることにドキドキしていました!

 

――そんなエピソードが秘められていたんですね!そうなりますと、ご自身の分身でもある「VRまりな」ですが、シナリオ作る上で心がけていることなどありますでしょうか。

 

―青木茉利奈さん
常に「初めての方にもわかりやすく」ということを意識しているのですが、発信する側の私達はサービスを熟知しているので、説明を簡単にしてしまったり、省略してしまったりする部分があったりします。その点に注意しつつ、「見て頂く方はこの情報に初めて触れるんだ」という思いを忘れないよう心がけています。
そして、「親しみを持っていただければ」という思いも乗せています。

 

――さくらインターネットさんではWEBマンガでの解説にも取り組まれていらっしゃいますが、解説における2Dと3Dの違いはいかがですか?

 

―青木茉利奈さん
お客様のニーズに合わせ展開したWEBマンガですが、ありがたいことに「文字よりマンガの方がわかりやすいです」というお声も頂きました。
ただ、「この段階でマウスのポインターがどこにあるのかわからない」「マンガを見ただけではわからない」というお客様も少なくなかったので、VRまりなや操作画面が動くことで、お客様がご自身と同じ環境を体感しやすくなるということは、大きなものでした。
今まで以上に「わかりやすかった」というお声を頂いております。

 

――「VRまりな」の「魂の人」「中の人」として気をつけていることや心がけていることなどありますか?

 

―「VRまりな」さん
「演技をしようと思わない」ことです。
自分の言葉でしゃべると、そこに動きもついてくるかと思いますが、マニュアルに沿って話そうとすると、どうしても棒読みになってしまったり、“読んでる感”が否めなかったり、動きがついてこなかったりしてしまいます。
当初はこのような傾向が強かったという思いもあります。
「キャラクターを演じる」のではなく、マニュアルを読み込み解釈したうえで、自分の言葉で話すように心がけています。

 

――既にプロ声優さんのような、まさに「魂の人」という境地を見いだされている印象ですが、「VRまりな」の魂に抜擢されるまでには社内オーディションのようなものがあったのでしょうか。

 

―「VRまりな」さん
はい。
担当の上司が「この人がいいんじゃないか」という数名をリストアップし、候補者に応募が呼びかけられました。
そこで応募のあった方に対し、社内選考が行われるという流れでした。
私は学生の頃にVR体験イベントのお手伝いを通じ、VRを扱ったことがあるということ、マニュアル制作のうえで同じ部署の人間のほうが良いのではという思いもありましたので、応募してみました。

 

――既にVRソフトを扱われたご経験がある中で、バーチャルキャストは他ソフトと比べ使い勝手や操作感などいかがですか?

 

―「VRまりな」さん
「思っていたより自由に動ける」というのが第一印象です。
他VRソフトでは、この範囲まで、この角度までといった制限が大きく、それを超えてしまうと腕や足が体にめり込んでしまうという問題がありました。
また、システム面でも以前に扱っていたVRソフトでは大きなトラブルが発生することが少なくなかったのですが、バーチャルキャストはトラブルなく使えています。
なによりバーチャルキャストは、メニュー画面がわかりやすいので、普段から直感的に使わせて頂いています。
説明書も読んだことがないほどです(笑)
それでも今はどこになにがあるのか、どこを操作すれば「まりな」がどう動くのか頭に入っている状態です!

 

――公開されているサポート動画では身振り手振りのある解説、そしてゆったりと丁寧な口調での説明にとても安心感を覚えます。「まりな」というキャラクターをすぐに掴まれたのでしょうか。

 

―「VRまりな」さん
かなり試行錯誤しました。
当初は、ここで笑顔、ここでは少し怒った表情、といった細かいニュアンスをカンペに書き足しつつ、「キャラクターを演じる」ということを試していたのですが、どうしても「違和感」が拭いきれず試行錯誤していく中で、自分の言葉と声色でしゃべるというスタイルに行き着きました。

 

――現状は「バーチャルキャスト」でのアクトを録画収録というご利用方法かと思いますが、収録の準備や手間、スペースや時間などいかがでしょう。

 

―青木茉利奈さん
収録は1回に何本か撮ってしまうことが多いのですが、現状はお昼から夕方にかけての約4時間で4本を収録するというペースになっています。
社内に空いているスペースがあるので、機材もそこに置いたままにしてあります。ですので、手間もなく思い立った時にすぐ収録が出来る状況です。

―「VRまりな」さん
身振り手振りを交えながらの収録ですが、必要な広さも3メートル四方のスペースがあれば大丈夫という印象です。

 

――今回は「ビジネスエディション」をご利用とのことですが、「ビジネスエディション」で利用可能なYouTube Live、コメント・Super Chat連携といった機能への展開は検討されているのでしょうか。

 

―青木茉利奈さん
個人的な意見にはなりますが、ライブでお客様と対面に近いVR空間上でのサポートや、質問をお受けすることができればという思いもあります。
弊社で定期的に開催している対面サポート「まりなカフェ」に連れていけたらという思いもあります。

 

――今年1月にスタートしたばかりの「VRまりな」ですが、現在までの手応えやお客様の反応などいかがでしょう。

 

―青木茉利奈さん
さくらインターネットのお客様はかなり幅広い年齢層となっているのですが、年配の方から「VRまりなの解説がわかりやすかった」「この動画を見ながらやったらわかった」というお声をいただけています。
それだけでなく、「お話しているような感覚」「安心感」といったお声もありますので、VRまりなとのコミュニケーションを感じて頂けているのがとても嬉しいです。
若い方からも、「動画だから、VTuberだから面白そう」というポイントかフックになり、解説動画を楽しんで頂けているとのお声があります。
再生数という意味合いではまだまだな部分はありますが、「VRまりな」企画で当初に掲げていた目標が狙い通りに実現しているような、確かな手応えを感じています。

―「VRまりな」さん
私のもとにも、「動画を聞き流しながら一緒に作業できるのがわかりやすくて嬉しい」という意見や、「自分の操作する画面と、解説動画にある画面を見比べながら作業ができるのがありがたい」といった意見が届いています。

 

――それでは最後の質問になりますが、バーチャルキャストと「VRまりな」で今後挑んでみたい企画や、見いだせた新たな展開などございましたら教えて下さい。

 

―青木茉利奈さん
現状では解説動画がメインになっていますが、今後は社内を案内する動画ですとか、オンラインセミナーを開催してみたいという思いがあります。
また、実際にお連れすることが難しいデータセンターに関し、「データセンターの中がどのようになっているのか知りたい」というお声も多いので、データセンターの中をVRまりなが歩きながら説明する動画も作ってみたいです。

―「VRまりな」さん
だいぶ先の話になるとは思いますが、さくらインターネット公式サポートキャラクターVRまりなとして知名度あがった際には、オフ会を開催してみたいですね(笑)
2Dでは衣装も複数のパターンがあるので、衣装チェンジも出来れば嬉しいです。
また、さくらインターネットWEB解説マンガには、まりなを助けてくれる、カワイくて設定に詳しい鳥さんのキャラクター「S先生」がいるので、是非一緒にVR展開したいです。
まりなと一緒に映ると、SS先生はゆるきゃらみたいでカワイイので、2人で掛け合いをする動画も作れれば嬉しいです。

 

――本日はお忙しい中本当にありがとうございました。

 

―青木茉利奈さん・「VRまりな」さん
ありがとうございました。

 

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「さくらインターネット カスタマーサポート まりな(Youtube)」
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